サムシング、って、なんだろう。

「コーヒーと、サムシング」とか、
「パンにあう、サムシング」とか。

このごろ
目にするようになった、
この言い回し。
そのまま訳せば、「何か」、ってことなんだけど。

ほんとうは
ナッシング、でも
構わないのかもしれないね。

このちいさな街にいても、
こだわりある
すてきなひとたちのおかげで
それだけでごちそうやご褒美と呼べるような
おいしいコーヒーもパンも
手に入るのだもの。

でも、ね。
手に入れて
おなかを満たすだけじゃない、
いっそうおいしく
うれしくさせるのが、
そのサムシング、ってことなんだろうなぁ。

それは
ひとかけらの
上質なチョコレートやチーズかもしれないし、

あるいは
たっぷりのスプレッドかもしれない。

何も
高価なものばかりじゃなくたって、いいよね。
じぶんで作った
季節のフルーツのジャムなんて、
いとおしくて
口に運ぶ前に
しげしげとながめてみたり
香りを吸い込んで
うれしくなったりしちゃうんだろう。

それだけじゃない、
たとえば
くつろいだ感じの音楽だとか、
手になじむ
コーヒーカップや
カトラリーとか。
窓から聴こえてくる
鳥たちのおしゃべりとか。
街をゆく電車の音、
きらきらゆれる木漏れ陽や
ふんわりと灯る
夕暮れ時のあかりとか。

そんな
ことばにならない、
かたちのないものまでもが、
サムシング、なのかもしれないよね。

おいしいものを
よりすてきにする、
ささやかな
かけがえのない魔法が、
きっと誰にも
あるのだろう。

じぶんだけの秘密に
しておいたっていいし、
誰かにおしえたくなったら、
そっと耳打ちしてもいい。

そんなサムシングがあれば、
明日
もう一日、
がんばってみようかな、って
思えたりもするのかもね。