other rooms, other letters—no.4 “Yellow Roses”

あちこちで木香バラが咲く季節は、

通勤途中の道がいつもよりちょっと楽しみになる。

美しく手入れされた庭に咲いているものより、

ほったらかしにされて、わぁっと咲き乱れている方が、

伸び伸びと生命力に溢れていて好きだ。

花を眺めて歩くこと、これも私のサムシングのひとつ。

 

人生は良いことばかりじゃないけれど、

そうじゃないからこそ感じられる

小さな優しさがあるんだと思う。

例えば、美しい音楽と共に蘇る思い出や匂いが、

自信のない背中を見透かしてふわっと支えてくれる瞬間の、

自分は自分でしかないのだなぁだと気がつく感じ。

例えば、夕焼けが身体にじんわりと染み入ってきて

微かに痛みを伴う瞬間の、心が揺さぶられる感じ。

 

気をつけて、そこに気持ちを向けていないと、うまく掴めない。

美しい花の色や形も、心に寄り添う音の響きも、

見上げればいつでもそこにある空も。

世界はたくさんの魔法に溢れているってことを、気づかせてくれるサムシング。

 

サムシング、って、なんだろう。

「コーヒーと、サムシング」とか、
「パンにあう、サムシング」とか。

このごろ
目にするようになった、
この言い回し。
そのまま訳せば、「何か」、ってことなんだけど。

ほんとうは
ナッシング、でも
構わないのかもしれないね。

このちいさな街にいても、
こだわりある
すてきなひとたちのおかげで
それだけでごちそうやご褒美と呼べるような
おいしいコーヒーもパンも
手に入るのだもの。

でも、ね。
手に入れて
おなかを満たすだけじゃない、
いっそうおいしく
うれしくさせるのが、
そのサムシング、ってことなんだろうなぁ。

それは
ひとかけらの
上質なチョコレートやチーズかもしれないし、

あるいは
たっぷりのスプレッドかもしれない。

何も
高価なものばかりじゃなくたって、いいよね。
じぶんで作った
季節のフルーツのジャムなんて、
いとおしくて
口に運ぶ前に
しげしげとながめてみたり
香りを吸い込んで
うれしくなったりしちゃうんだろう。

それだけじゃない、
たとえば
くつろいだ感じの音楽だとか、
手になじむ
コーヒーカップや
カトラリーとか。
窓から聴こえてくる
鳥たちのおしゃべりとか。
街をゆく電車の音、
きらきらゆれる木漏れ陽や
ふんわりと灯る
夕暮れ時のあかりとか。

そんな
ことばにならない、
かたちのないものまでもが、
サムシング、なのかもしれないよね。

おいしいものを
よりすてきにする、
ささやかな
かけがえのない魔法が、
きっと誰にも
あるのだろう。

じぶんだけの秘密に
しておいたっていいし、
誰かにおしえたくなったら、
そっと耳打ちしてもいい。

そんなサムシングがあれば、
明日
もう一日、
がんばってみようかな、って
思えたりもするのかもね。

toast specimen no.52

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ツナ入りキャロット・ラペのトースト

バターリッチ食パン(5枚切り)
にんじん
オリーヴオイル
レモン果汁
ツナ
ケイパー

パルメザンチーズ

おいしくて、はなやかで、
ちょっとうれしくなりそなトースト。
ひとりでも、だれかとでも。

毎週水曜に更新してまいりました
トースト標本。
本日が最終更新日となります。

52のトーストたち、
おたのしみいただけたでしょうか。

1年間、ご覧いただき
ありがとうございました。

toast specimen no.51

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クリスマスのパイ風トースト

バターリッチ食パン(5枚切りのみみ使用)
プラムジャム
粉砂糖

フィンランドのヨウル・トルットゥを
トーストで。
クリスマスの甘酸っぱい想い出とか…
あったかなぁ…(遠い目)

toast specimen no.50

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サフラン入りの
パンプディング風トースト

バターリッチ食パン(5枚切りのみみ使用)
牛乳
生クリーム
サフラン
アーモンドパウダー
きび砂糖
卵黄
シナモン
ナツメグ
カルダモン
レーズン
アーモンドスライス
はちみつ

12月13日は光のおまつり、聖ルチア祭。
サフラン入りの黄色いパンを食べるそうで。

other rooms, other letters—no.2

いつものように休日前の夜、適当な映画を選んでちょっと夜更かしをするひと時。その日も何気なくうとうとしながら見ていた画面。ところがいつもと違ったのは、エンディングで流れ始めたメロディに、その歌詞に釘付けになったこと。

「自分はちっぽけな人間」なんて台詞や何かでよく聞くけれど、決して否定的な意味じゃなく、やっと心から思えるようになった。今のこの自分でじゅうぶんなのだと。そう気づいた時から、まるで新しい人生が始まったような気分になった。つい最近の話。だからこの歌にすごくグッときてしまったのだ。

このごろは、先のことを考えて「幸せになりたい」とはあまり思わなくなった。感じる瞬間、その目の前にあるものこそが、いつも私を幸せな気持ちにしてくれていた。そんな本当のものを、もっと大事にしたくなった。

 

“ Little Person “  by Jon Brion

僕はちっぽけな人間

誰も僕に気づかない

たくさんのちっぽけな人たちとともに

広い海の中を彷徨っている

 

大したことのない仕事をこなし

何てことのない毎日のなかで

ささやかな食事をしたり

子供や妻を愛おしく思ったりする

 

そしてどこかで、きっといつか

どこか遠いところで

僕はもうひとりのちっぽけな誰かと出会うのさ

その人は僕を見て言うだろう

「あなたのこと知ってるわ、ずっと待っていたの。二人で楽しみましょうよ。」

 

人生はかけがえのないもの

その一瞬一瞬が

君といればもっと素晴らしい

だからもっと楽しもう

僕らは車に乗って旅に出るんだ、西のほうへ向かって

君のことが誰よりも大好きなのさ、やっと会えて嬉しいと思っているんだよ

君と一緒にいると幸せな気持ちになる

僕の一番大切な、愛しい人

 

どこかで、きっといつか

どこか遠いところで

どこかで、きっといつか

どこか遠いところで

僕は自分と同じようにちっぽけな誰かと出会うだろう

そして僕らは一緒にたくさんの楽しい時を過ごすのさ

 

toast specimen no.49

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かぶとロースハムの
チーズトースト

バターリッチ食パン(5枚切り)
かぶ
ロースハム
シュレッドチーズ
粒マスタード
岩塩
ミックスハーブ

いつ食べても
おいしいんだけど、
かぶは
冬に食べるのがいいな、と思う。

toast specimen no.48

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ブルーチーズとくるみのトースト

バターリッチ食パン(5枚切り)
ブルーチーズ
くるみ
はちみつ

ちょっとクセがあるんだけど、
魅力的でどうにも離れがたい。
ヒトにも、モノにも、
そういうことって、あります、よね?

toast specimen no.47

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ミモレットとマスタードのトースト

バターリッチ食パン(5枚切り)
粒マスタード
ミモレット(6ヵ月)

たかがチーズトースト、
されどチーズトースト。
夕暮れ時のような色のミモレットでつくる、
ちょっとオトナのチーズトースト。

toast specimen no.46

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パンチェッタときのこのグラタン風
トーストキッシュ

バターリッチ食パン(5枚切りのみみ使用)
パンチェッタ
えのき
しめじ
エリンギ
たまねぎ
発酵バター

牛乳
チーズ
タイム

あふれんばかりの
山の恵みを、
さくさくのパンみみに
詰め込んで。
(いきおいよろしく、食パンの天地が逆になってしまいました・汗)